ビーフィーター -BEEFEATER- > イベントレポート02
ひときわ寒さ募る一月下旬、凍えながらも足早に先を急ぐ人々の目立つ表参道の街の中、ニコライ・バーグマン青山フラッグシップストアは、ひと際華やかな異彩を放っていた。咲き零れる色とりどりの名花で彩られたショーケースのようなガラス張りの一軒は、その夜、老舗男性誌「MEN'S CLUB」主催によるカクテルパーティー「ビーフィーター24ナイト」が開かれていた。
瀟洒な店舗内は、コンクリートの打ちっぱなしの内装を基調に4メートルを超える高さのシーリングを持ち、左手奥のカウンタースペースをベースとし、その手前に3×3に9つのテーブルを配列。そのグラストップのテーブル中には、サントリーフラワーズが独自に開発した青色系カーネーション「ムーンダスト」、やや薄紫と濃い紫のムーンダスト2種類がディスプレーされ、テーブル上には、ビーフィーターを象徴する「リコリス」、「ジェニパーベリー」、「オレンジ」の3種のボタニカルがプレートに陳列される。受付やお料理テーブルには、こちらもサントリーフラワーズが開発した世界初の青い薔薇「アプローズ」と4色のムーンダストがビーフィターボトルに華やかさを添えた。
そんな中、この日MCを務める「MEN'S CLUB」の戸賀敬城編集長が会場入り。スタッフが慌ただしく、走りまわる中、パーティー用のカクテルなどが着々と用意される。
この日、会場に用意されたビーフィーター24を使用したオリジナル・カクテルは、2品。男性向けの「Herbal Green(ハーバルグリーン)」と女性向けの「Velvet Green(ベルベットグリーン)」。本作は、有楽町にある、ザ・ペニンシュラ東京「Peterバー」の鎌田真理シニアバーテンダーがこのイベントの為に創作した作品。Herbal Greenは、ビーフィーター24に抹茶のリキュール、シャルトリューズ・ヴェール、フレッシュライム・ジュースをシェイクしたきりっとしたカクテル。ビーフィーター24とシャルトリューズの調和がスタンダード・カクテル「アラスカ」を想起させる逸品は、抹茶のアクセントに和む。Velvet Greenは、同じくビーフィーター24と抹茶のリキュールを使用しながら、グレープフルーツ・ジュースとエルダーフラワーコーディアルを加えたほのかな甘みが魅力的な一杯に仕上がっている。
来場者がそれぞれのカクテルを愉しみ始めたところで、戸賀編集長が登壇。 「本日は、ビーフィーター24とMEN'S CLUBのイベントにお越しくださいましてありがとうございます。今日は本格的なジンを愉しむということで、ビーフィーターの中でも特にプレミアムのビーフィーター24をお楽しみ頂いています。ビーフィーターは、ロンドン市内で今なお蒸溜されている唯一のプレミアム ロンドン ドライジンです。ジンはお酒を飲むようになって、最初に覚えるスピリッツで馴染みもありますが、少し前にこのビーフィーター24を知ってびっくりしました。口当たりの良さの中にジンらしさがあり、しかもバーで『24』をオーダーすると、ちょっと『知ってる』感があり、評価が上がります」と挨拶、さらに乾杯の発声により大人の夜の口火が切られた。
しばしの歓談の後、サントリービア&スピリッツ(株)営業推進部グルメスーパーバイザーの小松秀徳氏が登壇。ジントニックとドライマティーニついて、ビーフィーター24を使った美味しい作り方がレクチャーされた。
ジントニックと聞くと、ジンとトニックウォーターを混ぜ合わせるだけと考えがち。だが、事はそう単純ではない。氏は、まずコリンズグラスを用意し、ビーフィーター24を注ぐ。「日本のトニックウォーターには、キニーネが入っていないので、ライムの果汁を搾り、さらにオレンジビターを加えます。そこにトニックウォーターを注ぎますが、シュワシュワ感を残すため、ステアは、バースプーンで氷全体を持ち上げる程度にします。かき回し過ぎて炭酸が飛ぶのを防ぐためです。これで一番美味しいジントニックの仕上がりです」。ただ、かき混ぜれば良いと考えている方は、特に丁寧に氷を持ち上げるだけのステアを参考にしたいもの。
続いてドライマティーニについて。「やはりマティーニは、ジンを味わって頂きたい。最近は冷凍されたジンが良く使われますが、今回はそこに常温のジンを足します。常温のジンにより温度を上げることで、ビーフィーター24がより香り立つからです」。ミキシンググラスに冷えたビーフィーター24とドライベルモットを5対1で注ぎ、氷を加えステア。さらに常温のビーフィーター24を少し加え、さらにステアを続ける。「マティーニにはオリーブがつきものですが、今日はリボンを形作ったレモンピールをグラスに沈めます」。マティーニ・グラスに注ぎ、ビーフィーター24の匂い立つ華やかさとレモンの柑橘系の爽やかさが引き立つ、ドライできりっとしたマティーニが仕上がった。戸賀編集長はこのマティーニをテイスティングしながら「(ビーフィーター24は)ジンの中で世界ナンバー1という位置付けだと思っています。最近は、ビーフィーター24でジントニックとマティーニを呑むようにしている。バーでも『24で』とオーダーすると、ちょっと通っぽい感じもするので、ぜひ」と感想を語った。
続いて「Peterバー」の鎌田氏が登壇し、オリジナルのカクテルレシピを披露。ビーフィーター24ならではのボタニカル、日本の煎茶、中国緑茶から連想し、抹茶のリキュールを使用した創作意図を解説。まずは男性向け「Herbal Green」を戸賀編集長がテイスティング。「美しいインパクトがありながらも、男性向けのパンチの利いた一杯。ビーフィーター24の45度というアルコール度数を感じさせない爽やかさです。マティーニよりも呑みやすいですね」と感想。続いて、ビクトリア王朝でよく使用されていたベルベットをイメージして創作された女性向けの「Velvet Green」を同じくMCを担当するフードコーディネーター藤崎聡子氏がテイスティング。「まろやかな酸味が女性にぴったりなので、お酒が呑めない女性も呑めないと見せかけて、でも呑みたい」と場内の笑いを誘った。
さらに料理研究家・川崎渚氏が鎌田氏のオリジナル・カクテルに合わせた二種類のアペタイザーを披露。バーカウンターには、小松氏によるジントニックとマティーニ、そして鎌田氏による2種類のオリジナル・カクテルが並び、川崎氏のアペタイザーが彩りを加えていた。ついつい釣られ、バーカウンターでマティーニを手に取る。マティーニ・グラスのボトムには、ニコライ・バーグマンのシグニチャー「N」。キリリとしたマティーニを呑み、ふと思う。プレミアムなロンドン・テイストを、こうして東京の夜に堪能できる至福感に酔いしれる。
最後に、来場者が待ちに待ったプレゼントの抽選。戸賀編集長がボックスの中からくじを引き当てると、16番の男性にビーフィーター24のフルボトルが、そして、17番の女性に30本の青い薔薇の花束がプレゼントされた。
この青い薔薇「アプローズ」は、サントリーフラワーズが開発したユニークな薔薇。薔薇は、青色の色素を持たない為、青い薔薇を開発するのは不可能とされ、古来「青い薔薇」は「不可能」、「神の祝福」の意とされてきた。それだけにこの「アプローズ」は、特に「夢かなう」の花言葉を持つ。
艶やかな宴はこうして閉幕を迎え、招待客はビーフィーター24によって叶えられた大人の夢を手土産に夜の街へと消えて行った。
文章:たまさぶろ 撮影:斉藤美春